暑いので、涼しい話題を、と思っていたのですが、8月に入って終戦記念日が近づくと連日のようにテレビで、戦時中の逸話などが流されるようになったので、考えが変わりました。
この国で過去の終戦を記念する今まさに、戦下にある人たちが世界中にいるし、いま向かおうとしているこの国の行方からも、目をそらすことができません。
なので、あえてまたしつこく、平和を願って尽力した人の話と歌を、取り上げました。 でも今日の話、もしかしたら引いちゃうかも。
コメント欄は今回、閉じさせて頂きますね(ブクマは開いています)
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イサクという名は、日本だと与作と区別がつきませんが、海外では「アイザック」で通る、とても便利な名前です。アイザックは、イサクの英語読みです。
海外に行くことなど滅多にないけど、「アイザック?」なんて尋ねられた日にゃ、気分はハリウッドスター(笑
この「アイザック」という名を持つ人物の中には、とてつもない大物がいます。
そう。アイザックと言えば、ニュートン(1643-1727)!
人類史に科学を確立したのはアルキメデスとニュートンの2人と言われるほどの、超大物!
おおっ、大きく出たな。大丈夫か。お前の手に負えるのか。
手に負えないので(←アッサリ)、しっかりと、かいつまんで、おいしいとこドリでお伝えしたいと思います。
ニュートンは、いじめられっ子でオタクだった?
小学生の頃、学研の『科学と学習』が大好きだった私は、すっかりニュートンさんの虜になりました。
ニュートンさんが生まれた頃のヨーローッパは、カトリックとプロテスタントが30年戦争(1618-1648)をやってた真っ最中、あちこちでクリスチャン同士の残虐な殺し合いが展開されていました。神様が命令したはずの「汝、殺すなかれ」は、どうなったんでしょう? 自分たちの仲間以外は殺してOKって? んな馬鹿な。
(その後、イギリスの啓蒙主義がフランスに輸入されてジャコバン党が結成され、フランス革命が勃発。マリー・アントワネットの首飾りを巡ってオスカルとアンドレが・・・ゴメンナサイ、悪ノリでしたね)
ニュートンは若き日に薬学と出会い、学生時代には薬草の収集、水車や日時計などの製作に没頭していた内向的な青年で、いじめにも遭ってたんですと。でもある時、いじめた相手に無我夢中で飛びかかっていったところ、相手を負かしてしまって、以来、自信を持つようになったんだって。
う~む。あの偉大なニュートンが、いじめられっ子でオタクだったとは。
ニュートンは大学進学前に、聖書、算術、古代史、幾何学などを学び、大学では授業料や食費を免除されるほど優秀な学生だったとか。学位を授与された後、すぐに3大業績と呼ばれる【万有引力・二項定理・微分積分】を発見。これ、ぜんぶ25歳までに成し遂げた業績だって。すげー。
『科学と学習』のかいもなく数学も物理も苦手な私は、今これ書いてるだけで頭痛がしてます。
ちなみに「リンゴが木から落ちるのを見て万有引力を思いついた」という伝説は、ニュートン自身がライバルを困惑させるために、わざと流布させた話なんだとか。
ちょっとー、日本の教科書、大丈夫かいな?
ニュートンの知られざる一面
と、ここまでは、よく知られている話。ところがニュートンには、もう一つの顔がありました。なんと「聖書研究者」。超一流の神学者でもあったんだけれど、それとは別に聖書を科学的に研究していたんです。で、その研究を知った私は、ビックリこきました。
ニュートンが聖書(旧約・新約)を科学的に研究したところによると、聖書が真に教えていることは、世の中に流布されていることとは正反対。
たとえば、「人類を不幸にするのは【聖書を正しく理解していない、聖書を教典とする宗教】と、世界の金融を支配している【富に仕える者】との連合」とか。
ヒエーッ、聖書を教典にしている宗教さんたちが、実はお金持ちと組んで、人類を不幸にする張本人だなんて、ニュートンさん、なんてことを!
でも、ニュートンさんが言うとおりに聖書を読むと、本当にそう書いてあるんだから、しょうがないもんね。
ちなみに、ニュートンさんの聖書解釈を読むと、ヨーロッパの絵画や音楽を見る目が180°変わること、間違いなしです。
あれ? なんだか陰謀論みたいですか? いえいえ、オカルトごっことはレベルが違うんです。ニュートンさん、英国議会の議員でもあり、イギリスの紙幣を印刷してた張本人(造幣局長)なんですから、説得力があります。
そのニュートン、なんで聖書研究なんかを? と思われるかも知れません。ニュートンさんは、聖書の真実を解明しないかぎり、人類に本当の幸福と平和はやって来ないと考えて研究に没頭したのです。そうして、科学の立場から徹底的に聖書を解剖した、というわけです。
ニュートンさん、聖書と科学は対立していないことを証明しているのはもちろんのこと、未来に起こることも聖書から導き出してます。
でも、それは書きません。書いたら、先日の「はてなのお題」の中で最もゾーッとする話になっちゃうので。
もう一人のニュートン
私が好きな、もう一人のニュートン。こちらはアイザックではなく、ヨハネ(英語圏ではジョン)・ニュートン。西欧には聖書由来の名が多いですね。
ジョン・ニュートンは『アメイジング・グレース』の作詞者。これドラマ『白い巨塔』でも流れてました。
ジョン・ニュートンは11歳のとき、船乗りだった父に伴って船員になったんだけど、19歳のときに奴隷貿易商船の船員にされてしまいます。
彼は22歳のとき、暴風で船が難破しかけて、初めて彼は神に祈ったそうです。 すると不思議なことに、流出していた貨物が船倉の穴を塞いで浸水が弱まり、船は奇跡的に遭難を免れたのだそう。
これを機に回心して・・と言いたいところだけど、人間そう簡単に変わりません。
その後も彼は、奴隷貿易船の船長として稼ぎまくり、巨万の富を築きます。
でも、金は貯めても、年を重ねるごとに良心の呵責がつのり、奴隷に対して情を感じるようになり、30歳の時に病気を理由に船を降ります。
陸に上った彼は、勉学と多額の献金を重ねて牧師になり、54歳のときに個人の讃美歌集を発行。
そこに収録されてたのが『アメイジング・グレイス』です。
歌詞には、黒人奴隷貿易に関わったことに対する悔恨と、それにもかかわらず自分を生かしてくれている「大いなる存在」に対する感謝が歌われています。
アメイジング・グレイスとは「素晴らしい、大いなる存在からの恵み」という意味。
『アメイジング・グレイス』を発表した同じ年、彼は、長きにわたる奴隷貿易反対運動を開始します。
長い活動の中で妻を失い、81歳になったとき、遂に英国国会法で奴隷貿易の廃止が決定されます。
それを見届けたジョン・ニュートンは翌年、82歳であの世へと旅立ったのです。
もし、クリスチャンの方々が讃美歌としてこの歌を聞いたり歌ったりするのであれば、
その胸中には、どんなことが去来しているのでしょうか。
黒人奴隷を虐待することと、いまキリスト教の国が世界各地でしていることと、どこに違いがあるのでしょう。
この歌、日本でも多くのアーティストが歌っていますが、早逝の歌姫・本田美奈子さんが病床で歌った最期のアメイジング・グレイスは心に刺さって離れません。訳詩は、彼女が舞台で演じた『ミス・サイゴン』を訳詩した岩谷時子さん。
美奈子さんが病床で最期にこの歌をうたった意味を、きちんと説明した放送、書籍、WEBを見たことがありません。最期の時を前に、自らの病や短命を嘆く歌ではなく、「大いなる存在」に生かされた感謝と、残された人々の平和を願って、最期の力を振り絞って歌った彼女のメッセージを忘れたくありません。
あまり知られていませんが、本田美奈子さんはバンド“MINAKO with WILD CATS”として活動していた時期があります。アイドルとして売り出されたことへの反発から、芸能界を干される覚悟で結成したバンド。
バンドとしてのデビュー曲『あなたと、熱帯』の作曲は忌野清志郎。ツインドラムのパワフルなバンドでした。
SHOW-YA、プリンセス・プリンセスなどと共演した『NAONのYAON』は、この時代の女性ロッカーたちの活躍の記念碑でもあります。
『NAONのYAON』は今夏も日比谷野外大音楽堂で開催されます(8月23日)。